人工骨・人工関節|群馬県高崎市の切削加工、タービンブレード「株式会社長井精機」

ARTIFICIAL

人工骨・人工関節とは

人工骨・人工関節とは、病気や怪我などで骨や関節の機能が低下したり、あるいは機能しなくなった場合に、その代替として使用される工業的に製作された骨や関節のことを指します。もともとこうした機能低下・機能不全などの状態を改善する手法はアメリカで開発されたと言われています。

そのため、日本国内で使用される多くの人工骨・人工関節は海外で製作されたもの、あるいは海外メーカー製のものが殆どですが、国内メーカーによる人工骨・人工関節の開発・承認においてもさかんになってきています。

なお、一口に人工骨・人工関節といってもその用途はさまざまです。たとえば、人工骨は大腿骨に使用するものが一般的ですが、人工関節の代表的なものには人工股関節や人工膝関節があります。また、肩・肘などの関節にも人工関節が使用されることもあります。

人工関節の市場について

厚生労働省の平成23年度患者調査では、日本全国の関節症疾病総患者数は130万人であるとされ、昨今の高齢者の増加に伴いこの数はますます増加していくと予想されます。なお、関節症の治療に活用される人工関節については、市場のほとんどが人工股関節・人工膝関節となっており、矢野経済研究所のデータによると、数量としてはおおよそ年率3.5%~4.0%程度の伸びとなっています。特に日本については高齢化がますます進み人工関節の採用も進むと考えられるので、人工関節の重要性はさらに高まっていくとされています。

人工骨・人工関節に求められること

このように時代の変遷とともに重要性が増していく人口骨・人工関節は、その開発にあたっても今後は様々な方向性が考えられます。使用する上での安全性や耐久性はもちろんですが、それ以上に世の中に広く普及させるためには下記の2点が必要となります。

安価に製造する

工業用の製品であれば、継続的なコストダウンは一般的な考え方です。その一方で医療機器である人工骨や人工関節についてもこれは当てはまります。つまり、安全性や耐久性などを確保するのはもちろんですが、これまでよりも安価に市場に提供することでより多くの患者に対して人工骨・人工関節を提供し機能を回復させる、といった使命があるからです。

個人に合わせたカスタマイズ

さらに人工骨・人工関節については、今後はさらなるカスタマイズの要求に応えていく、といったことが求められます。体つきや個性が人それぞれ違うように、骨や関節についても人によって大きさ等が違うため、本来であれば「その人にぴったりと合った人工骨・人工関節」が必要になるのはお分かり頂けると思います。しかし現状では、人工骨・人工関節は工業的に生産されるために、人工骨・人工関節メーカーによって決められた規格寸法に基づいて製作されているため、いわば「人の体を人工骨・人工関節に合わせる」といった状況になっています。

こうした状況はある程度は仕方ない部分ではありますが、一般消費財についてもプロダクトアウト的な大量生産からマーケットイン・顧客志向の小ロット生産に移行してきた歴史から言うと、人工骨・人工関節についても同様の歴史を辿る可能性が高いと言えます。このように、将来の人工骨・人工関節はコストダウン・価格低下とカスタマイズの両立を求められることになります。従って人工骨・人工関節を設計・製造するにあたっては小ロットで安くつくる技術がますます求められることになるのです。

加工技術

ローコスト同時4軸加工技術

長井精機では高額な設備での多軸加工ではなく、イニシャルコストの安いローコストな汎用機にインデックステーブルを設けるなど、独自の生産技術によって価格競争の激しいタービンブレードの領域で高い価格競争力を保持してきました。

さらにマシンの稼働率を極限にまで高めたり、通常であれば手作業で行う研磨作業をロボットによる研磨によって自動化を図るなど、小ロットの製品でも生産効率を高めることも高い競争力を保持できる理由です。

従って、これらのタービンブレードのような複雑形状を持つ難削材の切削・研磨加工をローコストに生産できる技術は、人工骨や人工関節の金属部分の生産に活用することが可能です。

また、タービンブレードの製造においては高精度に加えて高品質とトレーサビリティが求められるため、医療機器メーカー様は安心して当社に生産をお任せ頂くことができます。

難削材加工技術

長井精機では、これまで50年間に渡ってタービンブレードの製作を製作して参りました。従って、タービンブレードに用いられるような各種のステンレス素材をはじめとして、チタン合金・ナイモニック・ハステロイ・インコネル等の難削材(特殊鋼・耐熱鋼)の精密加工を得意としています。

さらに、機械加工を行なうマシニングセンタに関しても横型マシニングセンタ、縦型マシニングセンタをはじめ、高剛性な50番台テーパも保有しています。また、ワークに合わせ加工精度向上と時間短縮を目的とした特殊治具も自社内で製作しています。

従って、切削加工品の形状と材質に合わせた最適なマシニングセンタを選定することができることに加え、それぞれの材質に合わせた最適な工具と切削条件の絶妙な組み合わせで、通常であれば時間を掛けなければならない加工においても高精度とスピード加工を実現しています。

切削から研磨までの一貫加工による短納期対応

人工骨やタービンブレードは機械加工を行なった後、お客様の要望によって研磨が必要となりますが、長井精機はこの機械加工と研磨を自社で一貫して加工できる人員と設備を備えています。

複雑な形状、いわゆる3次元自由曲面を完全に実現するには最終的には人の手作業が必要であり、長井精機ではこれらの最先端の加工技術と職人の技の融合によって高品質なタービンブレードの生産を自社で一貫対応することで、短納期対応を実現しています。

もちろん、この技術は機械加工と研磨が必要である人工骨・人工関節の生産にも活かすことができます。機械加工を行なった後の研磨作業は、この写真のように職人の手によって一点一点丁寧に研磨されます。この工程を経ることで完全な形状が実現できます。

全数検査の実施による安心の保証体制

高品質・高精度を求められるタービンブレードは、複雑な形状を有している上、一つひとつの形状のばらつきがタービンの性能に影響するので、寸法検査が欠かせません。長井精機ではお客様の要望により、CNC三次元座標測定器による寸法検査を全数行っています。

人工骨や人工関節は、これからますます小ロットに対応しなければならない傾向にあるため、一点一点確実に検査をする必要がありますが、長井精機ではそのような全品検査体制を既に整えているため、お客様のご要望にお応えすることが可能です。

タービンブレードは寸法のばらつきがタービンの性能に大きな影響を与えるため、この写真のように3次元測定器によって全数検査を行った上で出荷しています。

長井精機の加工技術

材質 各種ステンレス・チタン合金・ナイモニック・ハステロイ・インコネル等の難削材(特殊鋼・耐熱鋼)
寸法 数mm~1,500mmまで対応
精度 1/100
面粗度 Ra0.7までの研磨加工仕上げに対応

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